オートバイにとってのエンジンオイルは、人間にとっての血液と一緒とよく言います。
人間も血液が汚れたり状態が悪くなると体調を崩しますよね。オートバイも、オイルが汚れたり
状態が悪くなると調子が悪くなっていきます。
まず、エンジンの中でのオイルの役割って何でしょう?

潤滑作用
金属と金属の間(例えばピストンとシリンダーの間のような)に油膜を作り、摩擦抵抗を減らす
役割です。金属同士が直接当たらないようにして部品の摩耗を防ぎます。

●冷却作用
燃焼や摩擦によって発生する熱を吸収し、外部にその熱を放出させます。

●防錆作用
油膜を作ることで、金属が直接空気に触れないようにして、錆ないように保ちます。

●密封作用
ピストン・シリンダーの間に入り隙間を埋めて、爆発圧力などを逃がさないようにします。

●清浄作用
エンジン内部に発生するカーボンやスラッジなどの汚れを落としオイル自身に取り込むことで、
堆積させないようにします。
いいオイルはこの作用が強力なので、汚れるのが早くなります。


   ●応力分散作用
油膜を作り金属同士が直接触れ合わないようにして、力が一点に集中しないようにします。


このように、見えないエンジンの中で過酷な労働をしているのがエンジンオイルなのです。
交換の目安は、
3,000kmまたは6か月とお考えください。

距離を走れば当然汚れるので交換になりますが、時間が経過してもオイルの性能は落ちて
しまいます。
空気に触れているだけで酸化していきますし、エンジンをかけて熱が入ることでも酸化が進んで
いきます。
『油』という意味では、家庭用のサラダ油と置き換えて考えると分かりやすいかと思います。

なので例えば、あまり距離を走っていなくても冬を越したオイルは目には見えないですが劣化
が進んでいますので、交換することをオススメします。

また、オイルにはたくさんの種類があります。
高いオイルが必ずしもいいとは限らないのです。
レース用で色々な添加剤が入っていて価格の高いオイルは、極端に言うと1レースとう短い
時間の中だけ性能を発揮してくれればOKなので、3,000kmまたは6か月の間性能を発揮
してほしい一般的な用途には合わないですよね?

オートバイのエンジンは、四輪に比べて圧縮比も高く回る回転数も高いのでオイルにとっては
過酷です。平均してキープする回転数は2倍以上になっています。
そしてエンジン内部やミッションは摩擦を減らしたいですが、クラッチだけは逆になります。
(クラッチは摩擦が仕事になるので。)
ですから、潤滑能力は高めつつクラッチは滑らせないという相反した性能が求められます。

オートバイにはオートバイ用のオイルを使いましょうというのは、こういう理由があるのです。

同じ粘度表示のオイルでも、油膜の厚いオイル・薄いオイルと性格の違うものがあるので、
車両や使い方によって適したオイルをオススメさせていただきます。